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No433 文学散歩

外国人の目には非文明
大正4年『別府温泉』より提言集 施設改良で外客誘致を

0218o2  大正4年『別府温泉』に掲載された別府発展策の提言のうち、ジャパンツーリストビューロー(現在のJTBのこと)幹事の生野団六は「世界の別府たれ―施設の改良と外客誘致策」と題する1文で、「世界の別府たるの抱負を以て大に其施設の改良に努められ且大に外客誘致策を講ぜられん事を希望する」と訴えている。内地人(日本人)にとっては結構な温泉場となったが、外国人を満足させるような施設がないというわけだ。
 「其特有と誇るサンドバスも宏壮なりと称する町営浴場も之を利用し得ぬ。外国人の眼には恐らく只非文明にして奇怪なる風俗と映ずるの外何等の印象も止めぬ事と信ぜられる。假令(たとい)野趣ある其風俗が一時一部人士の好奇心に投ずる事ありとするも大多数は不快の情を以て之を観るは疑を容れぬ所である。」と当時の砂湯や浴場の雰囲気を、外国人にとっては野蛮な風俗だと批判している。
  ◇  ◇  ◇  
0218o3  また、小説家の田口掬汀は「別府温泉官営論」で、世界の別府にするため「国家事業にしたら何うかと思った事である。この三里に亘る温泉地帯を国有にして、温泉の施設や経営を官営にしたいと私は思ふ」と大胆な国営化の提案を記し、「アメリカあたりのお客さんを呼ぶ位何でもない。近くは内地と満州台湾を往復する人、遠くは欧亜旅客の足だまりとして、別府は異常の発達をなすに違ひない」と気宇壮大な予想をしている。
 一方で、別府の人たちの欲のなさには、「呑気な別府人士」とあきれている。「之れが欧米であって見たまへ、世界一と言はれる大温泉を、宝の持腐れにしては置くまい、日本人相手で納まり返ってゐはすまい、其処へ行くと別府の諸君は呑気なものである。発展の必要を認めながら其発展策は人がして呉れるものと思ってゐる そんな事では世界の名物も何もあったものでない、温泉遊覧の道路さへ出来ていない、呑気にも程度のあるものと私は思った。」と辛辣だ。
  ◇  ◇  ◇  
 ※掲載した砂湯の絵葉書は、竹瓦温泉界隈から海岸沿いに進出した松屋別荘(背後の左側の旅館)の宣伝用のもの(女性が着ている浴衣は松葉のデザイン)。その右隣の旅館の看板は「平野屋別荘」と読みとれる。

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